職場のトラブル

退職勧奨されたら:面談前の準備とやりとりを残す手順

カフェのテーブルで白紙のノートにメモを書く手

退職勧奨されたら、まず面談の日時、参加者、会社から示された理由と条件を分けて記録し、受け取った書類を確認できる状態に整えます。上司との面談では、会社の説明と自分の受け止めを混ぜず、質問への回答も含めて時系列で残すことが大切です。退職するかどうかをすぐに決められないときは、書類を持ち帰って確認したい旨を伝える方法もあります。

この記事では、退職勧奨と解雇の一般的な違いから、面談前の準備、面談中のメモと録音、面談後の整理、相談窓口までを順に説明します。個別の事情によって判断は変わるため、結論を決める記事ではなく、状況を正確に把握するための手順としてご覧ください。

退職勧奨とは?解雇とは何が違いますか

退職勧奨とは、一般に、会社が従業員へ退職を提案し、本人の意思を確認する場面を指します。一方、解雇は会社側から労働契約を終了させる扱いとして説明されます。面談が「退職面談」「今後についての面談」など別の名称になっている場合もあるため、予定表の件名だけで決めつけず、会社が何を提案しているのかを確認することが出発点になります。

空いた椅子が二脚と水の入ったグラスだけが置かれた静かな会議室

労働契約法第16条(解雇)は、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」と定めています。この条文は解雇についての規定であり、退職勧奨そのものを定めた条文ではありません。目の前の説明が退職の提案なのか、解雇の通知なのか、また条文が個別の事案にどう適用されるかは、実際の発言、書類、経緯によって異なります。

確認する対象面談で確かめたい内容
会社の説明退職の提案なのか、別の人事上の説明なのか
理由どの出来事や評価を根拠として説明しているのか
条件退職日、引き継ぎ、金銭面などについて何が提示されたのか
回答会社が回答時期をどのように説明しているのか
今後提案を受け入れない場合の勤務や業務をどう説明しているのか

「退職勧奨」という言葉が使われたかどうかだけでなく、誰が、いつ、どのような表現で、何を求めたのかを残すと、後から状況を整理しやすくなります。

上司との面談前に何を準備すればよいですか

面談前の準備では、会社への反論文を急いで作るより、すでに確認できている事実と未確認の点を分けます。面談の案内がメールや社内メッセージで届いている場合は、日時、場所、件名、参加予定者が分かる状態で保管します。口頭で案内された場合は、伝えられた日時と相手の氏名を自分のメモに残します。

白紙の付箋と鉛筆立て、ホッチキスが置かれた机

事前メモに入れる項目

  • 面談の予定日時、場所、参加予定者
  • 面談を案内された日と、そのときに説明された目的
  • これまでに退職を示唆する発言があった場合は、その日時と表現
  • 人事評価、担当業務、配置などについて会社から受けた説明
  • 確認したい質問と、まだ判断できていない事項

質問は、評価への反論と事実確認を分けておくと会話を追いやすくなります。たとえば、「今回の面談を会社ではどのような手続きとして扱っていますか」「退職を提案する理由を具体的に説明してください」「提示される条件を書面で確認できますか」のように、一度に1つずつ尋ねられる形にします。

書類を受け取ったときの考え方

面談で退職届、合意書、条件を記載した文書などを示される可能性があります。書類の名称、受領日時、渡した人をメモし、写しを受け取れるか確認します。内容をその場で判断できない場合は、「現時点では判断できません」「書類を持ち帰って確認したいです」と現在の状態を伝える方法があります。

署名欄がある書類については、本文だけでなく、退職日、理由、支払い、引き継ぎ、守秘に関する記載など、書かれている項目を一つずつ確認します。空欄や意味が分からない表現があれば、何を指すのか質問し、その回答もメモに加えます。

準備するもの確認するポイント
面談案内日時、件名、参加者、案内した人
過去の連絡会社の説明が変わっていないか
質問メモ事実確認と自分の意見を分けているか
筆記用具発言者と時刻を簡潔に残せるか
録音に使う端末保存先と再生の可否を事前に確認したか

退職面談では何を聞き、どう記録しますか

面談が始まったら、開始時刻、参加者の氏名と立場をメモします。途中から別の人が加わった場合や、誰かが退出した場合も時刻とともに残します。発言を一字一句書こうとすると質問を聞き逃しやすいため、まずは「誰が」「何を説明したか」「どの質問にどう答えたか」の3点を軸にします。

椅子がきちんと収まった長い会議テーブルと閉じたノート

確認する順番

  1. この面談の目的と、会社が用いている手続きの名称を確認します。
  2. 退職を提案する理由と、その理由に関係する具体的な出来事を尋ねます。
  3. 退職日、引き継ぎ、金銭面など、提示された条件を項目ごとに確認します。
  4. 回答時期について、会社からどのような説明があるかを確認します。
  5. 提案を受け入れない場合の勤務、配置、担当業務を会社がどう説明するか尋ねます。

強い表現や繰り返された発言があった場合は、できる範囲で実際の言葉をかぎ括弧に入れて残し、自分の要約と区別します。「退職以外の選択肢はない」と自分が感じた場合でも、その感想だけで終わらせず、そう感じるきっかけになった相手の発言を記録します。相手が質問に答えなかったときも、質問内容と「回答なし」となった経緯を残します。

録音を併用する場合でも、メモは役立ちます。録音を開始した時刻、面談の開始・終了時刻、資料を渡された場面などを記しておけば、後で音声を確認するときの手掛かりになります。使用するアプリに録音時間などの表示がある場合は、自分の端末上で動作しているかを確認します。

面談中に結論を求められても、自分の判断が固まっていなければ、その時点で判断していないことを言葉にします。自分が話した内容についても、「承諾した」「検討すると述べた」などの解釈だけでまとめず、可能な限り実際の表現を残しておくと、会社の説明との区別が明確になります。

面談を録音するときは、どこまでを対象にしますか

録音の対象は、自分が参加している面談や会話だけにします。自分が席を外す時点で録音を終了し、スマートフォンや機器をその場に残して、他の人同士の会話を録音する方法は取りません。この範囲を先に決めておくと、面談の途中で退出を求められた場合にも対応しやすくなります。

早朝の街並みが見える大きな窓と薄いカーテン

会社の社内規程に録音に関する定めが置かれている場合もあるため、確認できる規程があれば内容を読んでおきます。ただし、規程が個別の面談や録音にどう関係するかは事情によって異なります。録音の適法性や取り扱いについて判断が必要なときは、面談の経緯と規程の文面をそろえて相談窓口へ確認する方法があります。

「緊急録音」は、初期設定ではアプリアイコンをタップするとすぐに録音を開始し、設定で動作を変更できます。音声はスマートフォンに保存され、端末のマイクで対面の会話を録音するもので、通話を録音せず、文字起こし・要約・AIの利用も行いません。録音は無料で回数や時間に上限がなく、Proは買い切りで、元の音声ファイルをZIPにまとめ、各ファイルのSHA-256値を記載した一覧PDFとともに書き出せます。

面談前に端末上で確かめること

  • 短い音声を試しに録音し、再生できるか
  • 録音した音声が端末内のどこに保存されるか
  • 面談に必要な空き容量と充電があるか
  • 使用するアプリの設定が意図した動作になっているか

面談後に音声を複製したり名称を整理したりする場合は、最初に保存されたファイルもそのまま保管します。音声だけに頼らず、録音日時、面談の参加者、関連する書類を別のメモで対応させると、何についての会話だったのかを確認しやすくなります。

面談後のやりとりは、どのように整理しますか

面談が終わったら、記憶が具体的なうちに、面談前の出来事から当日の終了までを日付順に整理します。録音を聞く場合は、最初から文章に起こそうとせず、会社の提案、理由、条件、自分の回答、未回答の質問という項目に分けると整理しやすくなります。

閉じたドアが並ぶ明るく長いオフィスの廊下
記録欄書く内容
日時案内、面談、書類受領、追加連絡があった日時
相手氏名、部署、面談での立場
会社の説明提案の理由、条件、回答時期、今後の扱い
自分の発言質問したこと、回答したこと、判断していないと伝えたこと
資料書類名、受領方法、写しの有無
未確認事項回答がなかった質問、意味を確認したい記載

会社へ面談内容の確認文を送る場合は、新しい主張を付け足すより、実際に交わされた説明を短く並べます。たとえば、「本日の面談では、会社から〇〇との説明があり、私は現時点で判断していない旨を伝えました」のように、会社の発言と自分の発言を分けます。送受信した文面は、面談メモや受領書類と対応する日付が分かる状態で保管します。

退職勧奨を拒否した後に確認すること

退職勧奨を受け入れない意思を示した後に何が起きるかは、会社の説明や個別の状況によって異なります。その後に配置、担当業務、勤務条件、評価などについて説明を受けた場合は、推測で理由を補わず、説明された内容と実際に起きた出来事を分けて記録します。新しい面談が設定されたときも、前回と同じ形式で日時、参加者、説明、書類を追加すると、経過を追いやすくなります。

書類は、受け取った順番が分かるように整理します。同じ名称の文書が複数ある場合は、日付や内容の違いを確認し、どの面談で渡されたものかをメモします。音声、面談メモ、メール、書類を日付で対応させると、相談時にも事実関係を説明しやすくなります。

判断に迷ったときは、どこへ相談できますか

会社の説明と自分の認識が大きく異なる場合や、書類の意味を自分だけで判断しにくい場合は、相談窓口へ経緯を伝える方法があります。相談前には、時系列メモ、会社から受け取った書類、面談の参加者、確認したい質問をまとめておくと、状況を説明しやすくなります。

壁沿いに空いた椅子が並ぶ明るい待合スペース

厚生労働省の総合労働相談コーナーは、解雇、雇止め、配置転換、賃金の引下げ、募集・採用、いじめ・嫌がらせ、パワハラなど、職場の幅広い労働問題を対象とし、労働者と事業主のどちらからも相談を受けると案内しています。専門の相談員が面談または電話で対応し、予約不要、利用無料で、各都道府県労働局や全国の労働基準監督署内など378か所に設置されています。土曜・日曜・祝日・年末年始の12月29日から1月3日は閉庁し、労働相談のほか、助言・指導やあっせんを案内しています。

法的な問題をどこへ相談すればよいか分からないときは、法テラス(日本司法支援センター)の法テラス・サポートダイヤルが案内されています。電話番号は0570-078374(おなやみなし)、受付時間は平日:9時から21時、土曜:9時から17時です。

相談では、「退職勧奨を受けた」という結論だけでなく、会社が用いた言葉、提示された条件、自分が返答した内容、その後の連絡を事実として伝えます。録音や社内規程の扱いを確認したい場合も、自分が参加したどの面談を、どのような状況で記録したのかを具体的に説明すると、個別の事情に沿って質問できます。

よくある質問

退職勧奨とは何ですか?

一般には、会社が従業員へ退職を提案し、本人の意思を確認する場面を指します。解雇とは区別して説明されますが、実際の扱いは面談での発言、通知書、合意書などの内容を見て確認する必要があります。

退職勧奨されたら面談で回答を決めるべきですか?

その場で判断できない場合は、現時点では判断していないことや、書類を確認したいことを伝える方法があります。会社が示した回答時期と条件を記録し、不明点を整理してから相談することも考えられます。

上司との面談を録音するときに注意することは何ですか?

自分が参加している会話だけを対象にし、席を外すときは録音を終了します。社内規程に録音に関する定めがないかも確認し、適法性など個別の判断が必要であれば、具体的な状況を相談窓口へ伝えてください。

退職勧奨を拒否した後は何を記録すればよいですか?

その後に会社から示された配置、業務、勤務条件、評価などの説明と、実際に起きた出来事を分けて記録します。新しい面談や文書が加わった場合も、日時、相手、説明内容、受領書類を同じ時系列へ追加します。

退職面談の後に残しておくものは何ですか?

面談の時系列メモ、受け取った書類の写し、会社とのメールやメッセージ、録音した音声を対応させて保管します。会社の説明、自分の発言、未回答だった質問を分けておくと、後から内容を確認しやすくなります。